さよならのあとで

尊敬する母

私の相良という屋号は母の旧姓

私にはずっと師匠や尊敬する人はおらず

母がこの世からいなくなったとき

私の尊敬する人が出来ました

誰にでも愛されるそんなひとで

葬式には500人ほどがお別れを言いに訪れました

そんな母、私の尊敬する人のこと

すこし書いてみようかな

母はとても優しく寛大な女性で

いつも、しなさい!するな!とは言わず

そう思うならすればいい。とだけ言います

私が毎日泣きながら通ったテニススクールに

もう行きたくないと嘆いた日

わかった、やめて良い

と言われて、逆にやめなかったこと

私の性格をよく知っているなと

今では思います

家の中では大人気で家族みんな、母と話したくて

取り合いでした

母を通じて兄の話を聞いたり

家の軸だった母がいなくなってからは戸惑った

作ったご飯は美味しかった

ベランダで野菜も育てていたし

ジュースも作ってた

縫いものもできて

いまはその道具は私が使っている

人付き合いが上手で友達も多い

死ぬまでしんどいと言ったことがなかった

強くて海が好きで人が好きだった

洗濯物を畳む横でに行くのが好き

猫も犬も寄ってきては

わたしもよく寄っていった

夜が怖くて最後に電気を消して

2階に上がるのが大嫌いなわたし

いつもダッシュで駆け上がる

時計の針が気になって寝れない毎日を

トントンしてくらないと寝ない子供だった

大丈夫だから

って言われて過ごした夜は

死を教えてくれた日

人はなぜ生きることばかり考えるのか

死んだら悲しい

それだけじゃ死ぬのが怖い

ほんとうは当たり前なのに

みんな死と向き合えない

死んだから今があるように

私はいなくなった日から

こんな人みたいに生きようと思えた

もし生きていたなら

亀山にも居ない

衣もつくっていない

コンクリートに囲まれた中で

休日を楽しみに真っ白い部屋で

添加物の入った飯を食い

使い捨てるだけの服を買い漁っては

捨ててかもしれない

何事も悲しみだけじゃない

どうせ土に還る

小さな頃から死と向き合いたかった

突然くる、死に

耐え切れる心がもう少しあったなら

死ぬことは悲しいだけじゃない

生きることは死ぬこと

死ぬことは生きること

呪縛じゃない

もう少し生きてるうちに考えていたい

あなたは死を

どう捉えているのか

身近な人の死に落ち込んでいる人がいるときに

贈る大好きな本がある

“さよならのあとで”

という本

永別の悲しみをいやす

言葉が書かれています

”死はなんでもないものです。

私はただ

となりの部屋にそっと移っただけ。”

ヘンリー・スコット・ホランド

上谷成美